2022年5月20日国民民主党の玉木代表が仮想通貨の税制改正に意欲を示したツイートをしたのはご存知ですか?こんなツイートをしました。
実は仮想通貨は、高額な取引や高額な利益が得られることから、現時点での税制は総合課税になっており最大55%の課税が課されます。これは、株式やFXなどと比較すると、仮想通貨利用者にとって高い課税になっています。
難しい文章で説明しても、わかりづらいと思うので図などを用いて、今の税制と2022年の税制改正案について、わかりやすく説明していきます。
今後この日本の税制改正はどうなるのか?
仮想通貨を利用している人にとって、今後を左右する、知っておきたい内容です。
今後の可能性や、日本の現状についてもお話ししていきます。
現状の税制と今後改正されるかもしれない税制を知っておくことは、仮想通貨(暗号資産)についての知識も増え、今後の対策にもつながります。現状の税金の仕組みを理解し、より賢く資産運用していきましょう。
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仮想通貨の分離課税はいつから?今後の可能性は?
冒頭でも述べましたが、国民民主党の玉木代表のツイートが2022年5月20日に投稿されました。
国民民主党はweb3型トークンエコノミーを推進するため、まず、暗号通貨(仮想通貨)の課税を雑所得ではなく20%の申告分離課税とします。また、発行法人が保有するトークンは、期末時価評価の対象から除外し、実際に収益が発生した時点で課税する方式に見直すことで、人材や事業の海外流出を防ぎます。 https://t.co/6bbYSgf6B5
— 玉木雄一郎(国民民主党代表) (@tamakiyuichiro) May 19, 2022
ですが、この仮想通貨に対する税制改正は2018年頃から言われていました。ですが、現状4年が経過していますが、実現は至っていません。
それが簡単に実現するなら苦労しないよヽ(´o`;
税制を変えるにはあらゆるステークホルダーを説得して、多数派をとらないと。総理だから、与党の国会議員だからってホイホイ政策を実現できる訳じゃない。それが民主主義。だから民意のサポートが必要。物知り顔のコメントで世の中は1ミリも動かないよ https://t.co/xoTCRZ6exu
— 平将明(たいらまさあき/Taira Masaaki) (@TAIRAMASAAKI) May 19, 2022
自民党の平 将明氏も2022年5月19日に、このようなツイートがあったことからも、仮想通貨の分離課税はすぐには実行できないことが予測されます。
って思っちゃいますよね。
今でこそ、株式やFXは申告分離課税になりましたが、もともとFXは仮想通貨同様、総合課税でした。
【FXの歴史】
FXは1998年に日本で解禁されるようになり、FX所得は総合課税の対象となりました。2005年取引所FXが登場し、取引所FXのみ申告分離課税が適用される。
2005年〜2010年頃無申告納税者が摘発、一気にFX関連税制が整備され、2012年FXの課税が申告分離課税に1本化されます。
FXも、総合課税から申告分離課税1本化に至るまで、約14年の歳月を経ています。
FXの歴史を踏まえると、仮想通貨の税制改正についての可能性はありますが、すぐには実現しないのではないかと思います。
仮想通貨による税金対象や、税金の仕組みを理解していない人が多く、無申告納税者が多いのも現状にあります。申告分離課税になる日は、いつになるでしょうか?
最近では、外国の法定通貨も仮想通貨が認められるなど、世の中の人に仮想通貨が広まりつつあります。なので、一刻も早くこの税制改正案が通ることを願うしかありません。
暗号資産(仮想通貨)の税制改正案とは?
あなたは現時点の暗号資産(仮想通貨)の税制をご存知ですか?
まずは現時点での暗号資産(仮想通貨)の税制についてお話ししていきます。
暗号資産(仮想通貨)は総合課税です。
最大税率55%(所得税+住民税含む)になっています。
暗号資産(仮想通貨)納税対象者は、保有しているだけでは課税対象になりません。例えば、ビットコインからイーサリアムに交換し利益が出ると初めて所得と見なされます。
会社に勤めている方は、20万円以上の利益がでた場合、扶養に入っている方は33万円以上の利益が出た場合に、確定申告と納税が必要になります。
暗号資産(仮想通貨)の利益は雑所得に分類されます。
雑所得は総合課税の対象で、給与所得など他の収入と合算した額に応じて税率が決まります。
累進課税であるため、所得が大きければ課される税金が多くなります。
って疑問に思いますよね。総合課税と、今回税制改正でも言われている分離課税について説明していきます。
【総合課税 例】
2022年の1年間の給与所得が500万円、仮想通貨の利益が450万円の場合、合計所得が950万円となり、税率が20%から33%にアップします。
【分離課税】
同じ雑所得でも、株式やFXによる収入は、他の所得と分離して税額が計算する「申告分離課税」。税率は所得の額に関わらず、一律約20%(所得税15%、住民税5%)です。
実はそうなんです。総合課税であるため、1年間の全ての所得に対して課税されるので、稼げば稼ぐ分だけ税金がかかります。(累進課税)以下が所得税の税率になっています。
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1,000円 から 1,949,000円まで | 5% | 0円 |
1,950,000円 から 3,299,000円まで | 10% | 97,500円 |
3,300,000円 から 6,949,000円まで | 20% | 427,500円 |
6,950,000円 から 8,999,000円まで | 23% | 636,000円 |
9,000,000円 から 17,999,000円まで | 33% | 1,536,000円 |
18,000,000円 から 39,999,000円まで | 40% | 2,796,000円 |
40,000,000円 以上 | 45% | 4,796,000円 |
引用:国税庁「No.2260 所得税の税率」
以上のことを踏まえ、暗号資産の税制改正が出ているのです。
なぜこのような税率なのか疑問ですよね。
業界団体としては毎年「税制改正に関する要望書」は提出しています。
日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)が提出した暗号資産にかかる税制改正に関する要望は以下になってます。
【要望内容】
・暗号資産取引にかかる利益への課税方法は、20%の申告分離課税
・損失については翌年以降3年間、暗号資産に係る所得金額から繰越控除
・暗号資産デリバティブ取引についても同様
文字だけ見ても、中々難しいしわかりづらいので、よりわかりやすく説明していきます。
【仮想通貨の税制改正】2022年
先ほど説明した、日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)が提出した仮想通貨にかかる税制改正案に関する要望を1つずつ説明していきます。
【要望内容】
①暗号資産取引にかかる利益への課税方法は、20%の申告分離課税
②損失については翌年以降3年間、暗号資産に係る所得金額から繰越控除
③暗号資産デリバティブ取引についても同様
①暗号資産取引に係る利益への課税方法は、20%申告分離課税
先ほども説明しましたが、暗号資産(仮想通貨)は総合課税で、稼げば稼ぐほど税率が上がる課税方法になっています。一方同じ雑所得である、株式やFXなどは一律20%となっています。この株式やFXと同様の申告分離課税にしていきたいという案です。
②損失については翌年以降3年間、暗号資産に係る所得金額から繰越控除
上記画像を見てもらうとわかりやすいと思います。簡単に説明すると、利益が出れば、給料所得と合算して税金を取るけど、損失が出れば給料所得と相殺できず、翌年にもこの損失は繰り越すことができないのが今の仮想通貨の現状です。
この問題点に対し、損失は翌年の3年間は繰越できるようにしようということと、暗号資産(仮想通貨)に係る所得金額からの繰越控除になるという案になってます。
③暗号資産デリバティブ取引ついても同様
って感じですよね。
簡単に説明すると、もともとの資産(原資産)を、将来の日時・価格で売買するために、売り手と買い手の間で交われる約束みたいな感じです。
【ビットコイン例】
デリバティブ取引を行う場合、「ビットコインのオークション価格で決済する」という契約条件を結んでおけば、ビットコインの価格変動が起きたとしても、トレーダーはその影響を緩和するためにヘッジポジション(すでに保有しているポジションが損失となった場合に備えて事前に別途保有するポジションのこと)を建てることができます。
【仮想通貨税制改正】2022年日本の現状は?
【各国の税制比較】
日本 |
雑所得として課税(総合課税) |
---|---|
アメリカ | キャピタルゲイン課税 税率最大20% 1年以上保有した場合、1年未満の保有の場合は通常の累進課税 |
イギリス | キャピタルゲイン課税 税率最大20% |
ドイツ | ガイドライン未整備 一般原則に従って課税 1年以上保有している場合には原則課税されない |
フランス | キャピタルゲイン課税 30%固定税率 年間利益が305ユーロを超えない限りは課税されない |
各国の税制比較を行うと、日本の税制は遅れをとっているのが現状として分かります。
この日本の税率が起因となって、日本のトークンプロジェクトの海外流出が相次いでいます。
日本の税制や規制ではビジネスの妨げになり、日本人の技術は凄いのに、日本でプロジェクトをしたいと思える人がいないという問題が出てきて、より日本が遅れてしまうことになります。早急にこの税制問題をどうにかしないと、より歪みが生まれてきてしまうのではないかと考えます。
日本の仮想通貨は、今後どうなっていくのでしょうか?
今まで、仮想通貨の税制を把握していなかった人は、何が対象になり、申告の仕方も理解しておくべきだと思います。
仮想通貨は、価格が上昇すれば高額なお金が手に入りとてもいいことです。前年度高額な利益を得ても、翌年に損失すれば、損失は損失のままになり、昨年度の税金に追われることになります。稼げば稼ぐほど高い税金を支払うことになり借金する恐れもあります。
きちんとそのことも理解して上で、仮想通貨を始めることです。するかしないかは、きちんとご自身で判断し、余剰範囲内でやりくりすることをお勧めします。